計算機・oq-producerによる学習システム
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ここでは、中規模なWebラーニングシステムである、"oq-producer"を用いた学習支援システムの構築について検討します。 oq-producerはフリーのWeb学習支援ソフトであり、多択問題、一問一答問題、○×問題などに対応している。また、HTMLタグ を問題文の中に含むことができ、多くの資格試験の問題にも適用可能である。oq-producerは、oq-seriesと呼ばれる学習支援 システムの中の問題作成ツールに相当します。作成した問題をWeb上で表示し、採点するソフトをoq-playerと呼び、これも 以下紹介します。
問題文は、独自のxmlフォーマット(oqXML)であり、フォーマットを理解すれば、テキストエディタなどで 用意に多数の問題を作成・処理することができる。別ファイルであることから、問題集xmlファイルを編集すること で移植性や可搬性が良好であると思われる。
- 1. oq-producerの概要
- 2. oq-producerのインストールと起動
- 2.1 oq-producerとoq-playerの入手
- 2.2 oq-producerの起動
- 2.3 oq-playerのデモを起動する
- 3. 問題集の作成とサーバーへのアップ
- 3.1 問題集の作成
- 3.2 サーバーへのアップロード
- 3.3 気象予報士試験問題のデモ
- 4. oq-producerの評価
- 5. Literature Cited
Contents:
【注】数式表示にはMathJaxを利用しています。IE8以下では表示が遅くなる可能性があります。FireFox などIE8以外のブラウザを利用下さい。
oq-producerの概要
oq-seriesとは、大阪外国語大学eラーニングプロジェクトで開発が始まり、大阪大学との統合後も
開発が続いている問題集のための規格とソフトウェア群で、eラーニング教材の作成と公開や試験用紙
の作成が簡単に行えます。公式サイトには、ソフトウェアやマニュアルなどが公開されています。
詳細は、oq-series公式サイト:(http://el.minoh.osaka-u.ac.jp/oq/)
を参照願います。
oq-seriesは、次のサブシステムから構成されている。
- oq-producer
- 問題集データの作成とeラーニング教材の生成
- oq-player
- 問題集データをeラーニング教材化
- oq-marker
- eラーニング教材の採点や成績収集
- oq-printer
- 問題集データからの試験用紙自動作成
問題の作成と教材の生成(先生側)には、oq-producerを、作成された問題を解く(生徒側)には、oq-playerを インストールします。oq-markerやoq-printerは上記解説のとおりですが、今回の学習システム の評価では前2者を取り扱っています。
oq-seriesは、基本的にはJava言語を用いた学習システムです。従って、Java 6以上の環境が インストールされている必要があります。また、問題集のデータは、XML(eXtensive Markup Language) を採用しており、oq-series独自のフォーマットで記述されています。
oq-producerは、ブラウザ上で問題文を入力することで、oq-XMLで記述された問題データとして出力 します。oq-playerはこのoq-XMLの問題データを読み込み、学習システムとして動作させます。
oq-producerのインストールと起動
oq-producerを用いた問題集データの作成とoq-playerを用いた問題集の実行までを試すため
これらの簡単なインストール方法、起動方法、デモの実行方法を紹介する。
なおこれらツールの使い方は次章にて紹介する。
oq-producerとoq-playerの入手
ソフトのダウンロードは、公式サイトから 行えます。またはVectorからダウンロードできます。oq-producerとoq-player、必要あればoq-maker (成績管理ツール)をダウンロードします。
ダウンロードしたzipファイルを適当なフォルダに解凍するだけで、インストールは完了です。
oq-producerの起動
oq-producerのインストール・フォルダ上で、コマンドプロンプト画面から次のように、
jarファイル(oq-producerの本体)を実行することで、oq-producerが起動します。
エクスプローラー上でインストールフォルダを選択し、シフトキー+マウス右クリックで
表示されるメニューの、「コマンドウィンドウをここで開く(W)」をクリックすると、
コマンドプロンプトがインストール・フォルダに移動した状態で開くことができます。
コマンドプロンプトから実行するときの画面を、図1に示す。
c:\....\>java -jar oqprd.jar
javaがインストールされていれば、oq-producerが起動します。起動しない場合や、エラーが
あって起動しないときは、システムの"Path"が、javaのインストールフォルダに通っていつか確認
します。
正常に立ち上がると、図2のようにJava言語で作成したアプリケーションが起動します。
保存したxmlファイルを読み込んだ状態を、図3に示す。
op-producerによる問題集の作り方は、ダウンロードしたzipに同梱されているマニュアル等を参照 して下さい。
oq-playerのデモを起動する
oq-series公式サイトにも、同じサンプルがあります。同サイト上で実行したサンプル画面を、 図4に示す。また、解答後、採点ボタンをクリックし、採点したところを、図5 に示す。
oq-playerのダウンロードしたzipファイルを解凍すると、oqplay-sampleフォルダに次の名前のHTMLサンプルファイルが 入っています。また動作に必要なjar、css、xml、oqemファイルが一式入っています。
2014/03/06 18:00 2,467 astronomy.html
2014/02/06 22:36 3,033 c-program01.html
2010/10/01 16:10 3,465 oqplay-q.html
これらサンプルファイルをローカルマシンで実行するために、oqplay-sampleフォルダ一式を、 ローカルのWebサーバーのフォルダにコピーする必要があります。Apacheサーバーであれば、\htdocsなど にコピーします。そして、ブラウザで、
http://localhost/oqplay-sample/astronomy.html
とURLを指定して表示させることができます。このとき、Java Appletを動かす旨、セキュリティ上の メッセージが出るかも知れませんが、許可すると動きます。図6に例を示す。
Webサーバーのフォルダにコピーしないで、 インストールフォルダから直接ファイルを開く(file:///d:/..../astronomy. htmlのように開く)と NullPointExceptionなどのエラーが発生し、開くことができません。
出来上がった問題集を、都度Webサーバー上にコピーし、載せないとoq-playerで実行することが 出来ないことに注意が必要です。
問題集の作成とサーバーへのアップ
ここでは、気象予報士試験の過去問を題材にして、自習用の教材を作ること考え、oq-producerを使用して 問題集のサンプル作成に取り組んだ。
問題集の作成
問題集の作成は、oq-producerの起動誤の画面(前出図2)に従って、各項目をキーボード入力して
いけばよい。入力項目の解説は、zipファイルのresourceフォルダに、丁寧なマニュアルが同梱されている。
実際の入力にあたっては、マニュアルを参照されたい。ここでは留意事項のみ紹介する。
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oq-producerは、Javaベースのツールであり、項目への入力操作でマウスによるコピー・ペーストが配慮されておらず、使えない。
その代わりに、ショートカットキーによるコピー(ctrl+C)・ペースト(ctrl+V)が利用できる。
キー入力に慣れない人には苦労します。
【注】XMLファイルフォーマット形式をマスターしたら、自分にあったテキストエディタでxmlファイルを 編集・加工した方が手っ取り早く完成させることができます。UTF-8コードが取り扱えるエディタがよい。 - 起動直後に「ファイル開く」とき、Windowsのように以前の履歴を保存してなく、ファイルを 保存したフォルダまで移動させる手間がかかります。
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入力完了後、入力データをファイルとして新規保存、あるいは上書き保存します。拡張子は"xxxx.oqpd"(oq-producerのoqpd)
となって保存されます。実際にはテキストファイルで、テキストエディタで開き、編集することが可能です。
ただし、日本語コードとして"UTF-8"で記述・編集する必要があります。またファイル形式は、通常のXMLファイルです。 使われているタグは、oqXMLフォーマットというoq-series独自のフォーマットを使っています。
oqXMLについても、resourceフォルダにマニュアルが同梱されています。 【注】こうした学習システム用に、SCORMという統一基準のXMLフォーマットが世界的流布されて、業界標準のようになっていますが、 多少違っているようです。 - oq-producerは、ファイル"xxxx.oqpd"、"xxxx.xml"のどちらも読み込み可能です。読み込み時の エラーは、起動したコマンドプロンプト窓(前出図1)に出力されます。
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入力・修正が完了したら、次に教材生成します。教材とは、oq-playerで読み込み可能な
形式に変換し、同時にHTMLファイルを出力します。
oq-producerのメニュー、「ファイル」-「教材生成…」を選択すると、図7に示す保存用のダイアログが表示されます。
ここで、種別として「一般」と「試験」を選択しますが、自習用であれば「一般」を選択します。「試験」を選択すると、 op-player側から採点時に正解が表示されません(当たり前のことですが、Webを利用した試験ですので、受験者側に正解が見えないようになっています)。
デザインは、Web表示時のスタイルを選択できます。 これらを選択したら"▽"が、Windowsの"OK"ボタンに、"×"が"Cancel"ボタンに相当します。 - 保存すると問題集ファイルとして、xxxx.oqem(公開用の問題集データ)、 xxxx.htmlファイルが保存される。
サーバーへのアップロード
次は出来上がったファイルと実行に必要なファイルを、Webサーバー(ローカルマシンでもよい)にアップロードします。
必要なファイルは、次のとおり。
- oqplay.jar: oq-playerの本体Java Applet
- xxxx.oqem: oq-producerが出力保存したxmlファイル
- xxxx.html: oq-producerが出力保存したhtmlファイル
- yyyy.css: oq-producerが出力保存する際に指定した、スタイルシートファイル
これらをWebサーバー(例:ローカルサーバー)に、コピーしたら、次のURLを指定して教材をWeb上で 表示させることができます。表示例を、図8に示す。
http://localhost/oqplay-sample/xxxx.html
図8を見ると、問題文中の図(pngファイル)の表示、問題文の下線表示が正常にできていること
がわかる。
また、oq-producerで出力されるHTMLファイルの、ブラウザ表示に関わる部分の抜粋をリスト1
に示す。リストには筆者が付け加えたコメントも含んでいる。
図8のように、デフォルトで出力される問題集データは、出来あいのスタイルとなってしまい、
Webサイト独自のスタイルに合わせるため、スタイルシートを修正する必要がある。
例えば、出題部分の幅とか、フォントのサイズなどを修正したい。
気象予報士試験問題のデモ
前記の気象予報士試験問題を題材とし作成した出力ファイルをそのままデモとして紹介します。 また表示スタイルをCSSを用いて統一し、カスタマイズしたデモも紹介します。
具体的には、既存のスタイルシート(CSS)を出来るだけ流用するため、埋め込まれたスタイルシートファイル
を出来るだけ反映しました。
oq-producerおよびoq-playerを用いたデモは、次のとおり。
oq-producer出力ファイルのままのデモを実行するとき、ブラウザのセキュリティ警告が出る場合があります。
oq-producerの評価
oq-producerを用いて、多択問題の資格試験向けの学習システムの構築に適用し、そのサンプルデモ版を作成した。 oq-producerは、Javaベースで起動し、出力されるHTMLファイルも同じくJava Appletを使い、問題集であるxmlファイル から動的にHTMLページを出力している。 問題文を、xmlファイルとしてHTMLファイルと別にもつことにより、移植性や可搬性は改善されている。 また、過去の問題毎の正誤の履歴をもつことができるのか不明であり、問題の抽出や並べ替えは難しそうに思われる。
サンプル試験問題として、気象予報士試験の問題を取り上げた。
- デモを実行し評価したところ次のとおり。
- 1) 気象予報士試験で出題される図、下線、添え字などは、通常のWebページ記載言語のHTMLが利用できる
ほかの資格試験、たとえば情報処理技術者試験、危険物取扱者試験、高圧ガス製造保安責任者試験など 色々な試験問題に適用可能である。 - 2) 採点の機能が備わっている
間違えた設問はどれかなど過去の履歴を保存する機能がなく、問題の抽出などができない。データベースと連携を考えないとこの機能は 満たされない。 - 3) 問題文とHTMLファイルは独立しているが、問題集であるxmlファイルに独自のフォーマットを
採用している
問題集のxmlファイルの汎用性に課題があり、可搬性、保守・移植性に問題が残る。統一規格のSCORMとはまだ比較していないので この点はいまだ不明である。 - 4) 試験問題をHTMLファイルに一旦記述すれば、本ツールで手軽に作成可能である
ただし、ショートカットキーを利用するコピー・ペースト機能であり、マウス利用のコピー・ペーストはできない。 UTF-8をサポートするテキストエディタで、直接xmlファイルを編集すれば極めて容易に作成できる。 oq-producerは単に、xmlファイルからHTMLファイルを生成するコンパイラに相当することになる。 - 5) ほかのスタイルのページと統合しようとすると、手間がかかりそう
Java Appletの中身まで公開されていないので、スタイル変更しようとしてもできない可能性がある。
ツールを利用して作成したHTMLファイルをそのままの形で、各自のサーバー上にアップすると、見掛け が大きく違ってしまい、違和感がある。そのためある程度スタイルシートによる、再加工が必要と思う。 またこうした修正が、面倒で手間暇がかかる。
資格試験を受験するための、自習用ツールを目指して、色々トライアルをしてきたが、やはり 問題には、受験者毎の難易レベルがあり、その人にとって不得意な難しい問題と、逆に得意でやさしい問題 がある。こうした難易レベルを解答するたびに自動的に履歴として残るようにしておき、試験直前に 、おさらいの意味で、間違え易い問題だけを抽出して解くという使い方が望ましく思うのですが、いかが。
そのためには、問題毎の難易レベルを保存する機能がどうしても必要になる。それをするにはやはり データベース機能が必要になると思う。
Literature Cited
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- References Cited
- 1) oq-series公式サイト: http://el.minoh.osaka-u.ac.jp/oq/
- 2) 一般財団法人気象業務支援センター:http://www.jmbsc.or.jp/