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計算機・気象予報士過去問ドリル(実技編)

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 国家資格である気象予報士試験の学習を支援するため、自習用を目的とした過去問等の試験問題 をWeb環境下で学習するシステムの構築を目指し、データベースを用いた学科試験(主に5択問題)対策用の過去問ドリル を以前開発した。今回は、さらに実技試験対策用のドリルの開発を目指し、試験問題のWebページ化を 実施した。

 気象予報士試験の実技試験は、論述式問題が主体に出題され、図表を用いた現象の予想を論述したり、 作図したりして解答する設問がほとんどである。したがって、実技試験の過去問をPC環境下で効率 的に学習しそれを支援するシステムには、多くの困難が予想される。具体的には、PC画面上で作図し、正誤を模範解答と 比較し、成績をつけることは、現状のソフトウェア群を利用する限り不可能に近い。
 ここで紹介するサンプルは、作図問題については、未対応であり、単純にWebページ化のみ行っている。

 Webラーニングとして、以前jQueryを用いたドリルなど利用できそうなソフトウェアツールを 本サイトで紹介しているが、こうしたツールを出来るだけ利用して、実技試験問題をWeb上で閲覧 表示すること、正解を、見掛け上、隠して、必要ならその場で表示するなどの機能を取り入れ、 学習できるよう過去問のWebページ化を、一部ではあるが実施した。

 ここでは、実技試験の過去問をWebページ化し、Web上で学習できるよう、自習用のWebラーニング 教材をサンプルとして作成したので以下紹介する。

【注】数式表示にはMathJaxを利用しています。IE8以下では表示が遅くなる可能性があります。FireFox などIE8以外のブラウザを利用下さい。

実技試験について

 気象予報士試験の過去の試験問題は、気象業務支援センターのホームページ2) からダウンロードでき、閲覧することができる。午前の試験は、学科の一般知識の60分と 学科の専門知識の60分の2科目があり、これら学科試験では5択問題で、それぞれ15問出題され、マークシートに 番号を記述する試験方法である。
 午後の試験は、実技試験1の75分と実技試験2の75分の2教科であるが、実技1と実技2の 出題範囲、解答形式などはほぼ共通で、試験問題、解答用紙、トレーシングペーパーが配布され、 コンパス、定規、拡大鏡、色鉛筆、マーカーなどの持ち込みが許されている。ただし電卓の 持ち込みは禁止されている。当然、携帯電話は使用禁止されている。

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試験問題の特徴

 もう少し詳しく、実技試験問題について紹介すると、ある気象現象のテーマ(例えば南岸低気圧、梅雨前線、台風などの中から一つ) が与えられ、それに関する設問が3~6問(標準的には5問)の問題文がおよそ4ページに記述され、 さらに、関連する天気図等の図表が10枚前後添付される。実技試験の1科目で、およそ表紙等を含め20頁程度の 小冊子が試験問題として配布される。別途、解答用紙として4,5枚の小冊子が同じく配布され、試験問題 を見ながら、解答用紙の所定欄に解答を記述していく。
 実際に受験するとわかることであるが、これら出題に対して全問を解答することを考えると、 試験時間の75分はいかにも短く、問題文を読んで、すぐにキーワードとかを思い浮かべ、文章を作成しないと とても全問に解答することはできない。すなわち、じっくり考察して解答を導き出すといったその場で考える という余裕はほとんどない。

 平均5問の設問は、さらに数問からなる小問から構成される。各小問は大まかには、次の問題に分類できる。

 一問一答問題、穴埋め問題に関しては学科試験の5択問題と同じようなWeb上での学習システム はすでに紹介したようにある程度は構築可能である。
 しかしながら、トレーシングペーパー、コンパス等を用いた作図問題に関してWebブラウザ上で 作業し、解答を実施できるようシステムを開発することは、不可能ではないにしても、現実的ではない。
 また、論述式問題についても、解答の正誤をコンピュータで判定することは極めて困難を伴う。論述式問題 に関しての受験参考書等による情報ではキーワードの有無と要点を要約した制限文字内での簡潔・明瞭な文章が 期待されているようだが、これらの正誤あるいは部分点をコンピュータで判定することは事実上不可能である。

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実技試験を対象とする学習支援システム

 以上述べたような難しさがあるが、数多くの実技試験問題を効率的に解く、あるいは実技試験問題を経験する、 慣れる、時間配分に気を配るなどのトレーニングに役立つようシステム化を行うこととした。

 さしあたり、作図問題に関しては、どんな出題がなされたかを紹介する程度とし、作図トレーニングは出力した紙を ベースに行って頂くこととし、実技試験で過去出題された試験問題を例に、自習用ドリルを作成した。
 ドリル化にあたり次の諸点に注意した。

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図表の閲覧方式

 後述するドリルのサンプルを見て頂ければわかるが、問題文を図表とを同時に 表示することで、問題文を読みながら図表を閲覧できる工夫を行った。
 図表を別ウィンドウのブラウザに表示することで、同時閲覧を可能にしたり、 文章中に現れる図番号にマウスを乗せると、図表が一時表示できるといったjQuery を使った表示方法も併用した。

 ひとつの試験問題で、およそ10枚程度の図表を閲覧することになるが、これら10枚を 別ウィンドウで同時表示すると、ウィンドウが図表の枚数だけ現れるため、図専用のウィンドウ または図をクリックして簡単にオープンできるよう工夫した。

 また試験問題毎に使用する全図表の縮小イメージを表示し、全体の図表を見渡せるよう に工夫した。

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実技試験過去問ドリルの紹介

 平成25年度第2回、通算41回目の気象予報士試験の実技試験問題を取り上げ、サンプル・ページを作成した。 ここ実技試験1ドリル・サンプルを参照して下さい。
 本番の過去問以外にも、受験参考書に掲載されている、実技の模擬試験問題なども同様にサンプルページ化することができる。
 なおこのサンプルは、スタイルシートCSSを利用しており、従来のスタイルを継承している(ページの色調、 体裁を統一している)。このページひとつが実技試験問題の実技1に相当し、試験時間75分で全問の 解答を記述する必要がある。

 以下の図は、クリックすると拡大表示されます。

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イメージ画像の別窓表示1

図1:実技試験・サンプルの画面

 実技試験ドリルのサンプルページを実際に開いて、体験して頂けるが、以下ページの利用に あたっての概要を簡単に紹介したい。

 図1は、ページトップにタイトルとして、H25-2[41]実技試験1とあり、平成25年度第2回目(通算41回目) の実技試験1の問題であることを示している。
 そしてその次にこの出題がどんな気圧配置型であるのか(例では台風型)、問題文の出典はどこかを示している。
 次の「使用上の留意事項」の囲みに、図表の閲覧に関して留意すべき事項を記述している。  文章中の文字列「ここ」に、リンクが張ってありマウスクリックすると、 図2に示す別ウィンドウが起動する。

図2:別ウィンドウ表示(メニュー)

 図2の解説は後回しにし、図1の続きとして、次に「目次」があり、示された問題文へ ジャンプすることができる。目次の先頭にある、「図表一覧」は問題文中に挿入された図表のサムネイル画面(図5)へ ジャンプする。
 さらにその下に、実際の試験問題の表紙にあたる図表リスト(HTMLのテーブル)がある。

図3:別ウィンドウ表示(タグ)

 別ウィンドウとして新たに起動した図2には、図面表示メニュー(図面毎にリンクが張られている)が表示される。
 メニューには本問題で参照する図と表の番号付文字列が並んでおり、リンクが張られている。このリンクをクリックすることで、各 図表を表示することができる。図2はブラウザFirefoxにより、各図表をタグとして表示した例を示す。

 あるタグに表示された図面の表示例を図3に示す。タグを切り替えることで図表を切り替えられる。 この方法では同時に複数の画像を表示させることができない欠点がある。

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イメージ画像の別窓表示2

 図表リストのテーブルの先頭欄に図番号にリンクが張られており、このリンクをクリック すると、図面毎にブラウザが新たに起動し、図を表示する。図面毎に複数を同時に表示することができる。ただし、 図表を同時に複数オープンすることで、返って扱い難くなる可能性がある。

図4:各図表のウィンドウ表示

 図4は、2つの図面を同時表示させた例を示す。利用するディスプレイの画面サイズ に余裕があればいいが、多数枚を同時に閲覧するには難点となる。

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イメージ画像のサムネイル

 図1の「目次」にある「画像一覧(縮小イメージ)」の表示エリアには全図表の縮小 イメージを網羅している。
 サンプル画面を図5に示す。
 サムネイルで表示された画像をクリックすると、拡大画像をそのウィンドウで表示 することができる(通常のリンクと同じ)。従って「戻る」ボタンでジャンプ元に戻る 必要がある。

図5:図表一覧(サムネイル画面)

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問題文中のjQueryによる画像参照

 問題文の本文中にも、「図xxは・・・」といった図表を参照している場合が多い。 該当する図表を、すばやく閲覧できるに越したことはなく、この機能として、マウスオーバー させることで自動的に図表を画面表示するjQueryのTips機能を適用した。
 表示例を図6に示す。図ではイメージの右側が少し切れている。

 この機能は、リンク部分の文字列「図xx」にマウスを乗せるだけで表示でき、便利では あるが、たまたま文字列がウィンドウの右端に近いと、図面が全部表示されず、隠されてしまう 欠点がある。

図6:文中の図表示(jQuery利用)

 ウィンドウのサイズを広げるなどして、全部が見えるよう対処が必要となる。
 jQueryのTipsの機能を拡張すれば、全画像をはみ出し表示できるのだろうが、 jQueryの中身に関する知見がなく、ここまでとした。
【注】他のTipsを探せばあるのかも知れぬが、そこまで調査していない。

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解答文中の正解画像表示

 問題文中と同様に、解答文中にある正解画像をjQueryで表示する例を、図7に示す。
 解答中の正解リンク(図7では「図参照」)の文字列がウィンドウの左端が近く、画像が欠けること はほとんどない。

図7:解答文の図表示(jQuery利用)

 解答文中の「正解」にリンクが張ってあり、その問題の正解を閲覧するにはマウスオーバー することで、正解の文字列を見ることができる。マウスを外せば表示が消えて、正解文を再び隠す ことができる。
 なお、これら正解は、支援センターが発表する解答例を正解とみなし、記述している。

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サンプルドリルの評価

 問題に付属している画像イメージをどのように表示したら、学習効率がアップするかを サンプルドリルに盛り込んで試した。盛り込み過ぎて、多少煩雑になってしまったかも知れぬ。
 やはり、jQueryを用いたその場での表示が手軽に表示出来てベストな選択と思われるが、 イメージ全体を場合により表示できない。また「図4~図7を参考にして…」などの文章では、「図4、図5、図6、図7」の 用に分解して記述し直す必要があるなど不便さも残る。

 画像イメージのサイズはおよそ横幅を最大640ドット程度に抑制しているため、これ以上拡大することが できない。画像のサイズを大きくすると取り扱いが煩雑になる。縮小画面を用意して全体を見渡すこと、 および部分的に拡大して天気記号や数値を読み取ることなど相反する要求があり、640dot程度のサイズとした。
 また画像サイズを大きくすると、ネットワークの転送に時間が掛かり、レスポンスが悪くなる恐れがある。

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今後の課題

 実技試験問題を単純にWebページ化したが、やはりデータベース化し、検索できるよう工夫すべきと思う。
 それにより気象現象別の出題傾向とかその内容を把握することができ、受験対策にもなると考えられる。過去問だけでなく、 受験用参考書に記載されている実技試験の模擬試験問題も同様にデータベース化し、蓄積することにより、 優れたツールになりうる。
 今後は問題文+図表+模範解答の組み合わせデータの蓄積、整理・分類が是非とも必要と考える。

 作図問題については、トレーニング用の例題を数多く収集し、正解を含めて専用のツールで 効率的学習ができるように将来的にする必要がある。教材となる材料は今のところ市販の図書 しかなく、独自で作成しることも困難であることから、数多くの例を収集することが必要である。
 一部参考書に、例えば等高線の描画問題などの例が見られるが、受験生にとっては気象観測の生データ すら入手不可能なうえ、正解が全く分からない状態ではお手上げとならざるを得ない。
 唯一の等高線を描く練習は、NHKラジオの気象通報でラジオ天気図を描くことで、こうした天気記号、等高線などの 天気図を描く練習になる。この場合にも実況放送を録音し、しかもそのときの天気図(解答)を同時に用意 するなど材料収集する必要がある。

 実技試験を攻略する上で、学習参考書では「自らの手で実際に天気の予想を繰り返し練習せよ」と言って まとめとしているが、具体的な方策もなく、受験者はただ迷うしかない。如何に合格するかの具体策が見えてこない。
 やはり合格してみないと分からないことかも。

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Literature Cited

 関連ファイルのダウンロードは、こちら(未リンク)で取り扱っています。

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